2020/05/04 17:17



里山の生態系を保全し、 狩猟の技術を磨き、里山を最大限に資源化することで猟師の6次産業化を目指す。同じ想いをもち、様々な経験・特技を持ったメンバーが所属する団体。



猟師として生きる若者たち、「猪鹿庁(いのしかちょう)」




岐阜県のほぼ中心部にある郡上市。市の面積の9割が森林という自然豊かなこの土地で、里山の保全を目的に活動する「猪鹿庁(いのしかちょう)」。岐阜の地元出身者と全国各地から移住してきた15名の若者たちがメンバーです。






猪鹿庁のテーマは、「猟師として生き、山を守る」こと。

山に入って狩猟や害獣駆除を行い、獲れた獣肉の解体、加工食品の開発販売、鳥獣被害対策、エコツアーの実施など、さまざまな活動を行っています。



なぜ漁師なのか?



その理由を、猪鹿庁の安田大介さんはこう話します。

「近年、中山間地域では猪や鹿など野生動物による農作物被害や森林被害が大きな問題となっています。

解決するには環境の保全と生態系のバランスを保つことが重要です。鳥や獣に餌が行き渡り、猟師による適正な個体数調整ができれば被害を減らせるはず。だから僕たちは猟師になり、自然豊かなこの地域を守っていこうと考えています」。



現在、郡上市で登録された猟師の約60%は60歳以上。農業や漁業と同様、猟師の世界も高齢化と担い手不足が深刻です。猪鹿庁では20〜30代のメンバー7名が猟師の資格を保有。目標は猟師の仕事で自立すること、そして猟師の6次産業化の実現です。




なぜ漁師なのか?獲った獣肉(ジビエ)を資源として美味しく利用する





狩猟による獣肉はヨーロッパでジビエと呼ばれ、高級食材として人気があります。

郡上は猪の三大産地として知られており、獣肉は地域の食文化のひとつとして受け継がれてきました。ちなみに郡上の人たちは、焼肉や鍋にして楽しむことが多いそう。

獲った獣肉を里山の資源として余さず利用することも、猪鹿庁の大切なミッション。解体は保健所から認可を受けた専門施設で行い、安全で安心な肉に加工しています。猟や解体の技術は、地元の猟師さんの直伝。

「現場ですぐ血を抜き、なるべく早く解体所にて内臓を抜いて冷やすと、臭みがなくおいしく食べられる。解体は3日ほど置いてから。昔からの知恵だね」と話すのは、猪鹿庁のメンバーが師匠と仰ぐ、猟師歴38年のベテラン猟師。




自分たちで獲った獣肉は、ハムや生ソーセージなどのオリジナルジビエ商品に加工。製造は猪鹿庁メンバーで、食肉加工職人の三島英巳さんが担当。三島さんも狩猟免許を保有する猟師です。

「素材そのものの味を大切にしたいので、材料は猪と鹿の肉100%です。味付けも天然素材のみ、保存料や着色剤は一切使いません。生ソーセージは3日間じっくり熟成させた肉を天然腸に詰めて、ひとつひとつ手びねりで作っています。肉の旨味がストレートに味わえて、ワインはもちろん、ビールやウィスキーなどお酒によく合いますよ」と三島さん。











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